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他人の意図を読むことはできない それは確率的な推論である

横断歩道の前で首を左右に振っている人がいたとします。
あなたはその人を見て、どういう「意図」を読み取るでしょうか。

教科書的に答えれば、「左右を確認して、今から横断歩道を渡ろうとしている」となりますよね。

でも、その人がランドセルを背負った小さな男の子で、時間が朝8時だったら、どうでしょうか?

「ああ、学校に行こうとしているんだな」

同じ動きです。
横断歩道の前で首を振っているだけ。
それなのに、そこに「登校」という意図が勝手にくっつきますよね。

今度は、同じく朝8時、スーツ姿のサラリーマンらしき人が横断歩道の前で首を振っていたとしましょう。
このとき私たちは、やはりほとんど迷わずにこう解釈します。

「会社に出勤しようとしているんだろうな」

ここで起きているのは、「行動から意図を読み取っている」というより、

  • 小学生 → 学校に行くもの

  • サラリーマン → 会社に行くもの

という雑なパターン認識を、そのまま頭の中で適用している、ということです。
本人が心の中で「よし、今から登校するぞ」と思っているかどうかは分かりません。

私たちは、人の行動と属性(小学生か、サラリーマンか)を合わせることによって、その人が何をしようとしてるかという意図を考えます。

同じ行動でも、誰がやっているかによって読み取るものが違うんですね。

目次

崖っぷちにいる人Aと、手を伸ばす人B

別の例を考えましょう。

崖っぷちに人Aが立っていて、今にも落ちそうになっている。
そのすぐそばにいる人Bが、Aに向かって手を伸ばして近づいていった。

さて、このBの「意図」はなんでしょうか。

Aの恋人だと知っていたら、「助けようとしている」と読むでしょう。
逆に、BがAに対して深い恨みを持っていると知っていたら、「突き落とそうとしている」と解釈する人もいるかもしれません。

ここでもやはり、私たちは「行動+その人に関する情報」から、もっともらしいストーリーを組み立てているだけです。

  • 「恋人」というラベルを知っている → 救助の物語にする

  • 「恨みを持っている」という情報を知っている → 加害の物語にする

つまり、「意図を読み取った」のではなく、

自分が持っているその人のキャラクター像をもとに、
一番しっくりくるストーリーをでっち上げた

のではないでしょうか。

だって、これはただの画像なのに意図も何もあるわけないじゃないですか。

「意図」そのものと、「意図らしきもの」のズレ

ここで一度整理しておきたいのは、本人の中にある意図と、周りが勝手に貼る意図ラベルは、まったく別物だということです。

小学生の横断歩道の例で言えば、当の本人が本当に心の中で、

「さあ、これから登校するぞ!」

と明確に意識しているとは限りません。

朝になったら支度をして家を出て、ランドセルを背負って学校に向かう。
それが当たり前になっているとき、身体はほとんど半自動的に動いているかもしれませんよね。
「登校するぞ」という意識は、実はぼんやりしていて、「気づいたら学校に着いていた」に近いことも多いでしょう。

それでも、外側から見ている私たちは、ランドセルと時間帯を手がかりに、

「登校しようとしている」という意図が、今まさにこの子の頭の中にある

かのように物語を作ってしまいます。

ここで起きているのは、

  • 本人の内側にある、よく分からない流れや習慣やぼんやりした動き

  • 外側から見たときに、そこに乗せたくなる「分かりやすい目的のストーリー」

の間の、静かなすり替えです。
僕たちは、この二つをわりと平気で混同して暮らしています。

意図を読み取ったつもりが、確率的に高いものを推察しただけだった

他人の「意図を読み取る」という行為の正体は、「勝手にストーリーをでっち上げること」である。

私たちは「他人の意図を読み取っている」と思い込みがちですが、実際にはそうではありません。

目の前の行動と、その人に関するわずかな情報から、もっとも確率の高そうなストーリーを自動的に組み立てているだけです。

それは「意図を理解している」のではなく、あくまで自分の頭の中で作った推察にすぎない。

言い換えれば、他人の意図とは「読み取る」ものではなく、「勝手に想像してしまう」ものなのです。

おわりに

あなたは、どのようなキャラクターであると周りから思われていますか?

100%善意で行った行動でも、「恨みを持っている」という情報が周りにある、もしくは、偽情報として流れていたり、勘違いされたりしている場合、悪意を持って行動したと思われる可能性があります。

私たちは人の意図を勝手に想像します。行動と、その人の外見や情報から得たキャラクター像によって、こういう意図なのではないかと考えます。

普段真面目な人がミスを犯しても「悪意はなかった」と判断される理由もこれです。

・人の意図を分かった気になっているだけで、本当は違うかもしれないこと

・意図を知りたければその人について正確な情報を得ていること

・自分の行動の意図は周りの人が勝手に判断してしまうこと

を意識してみると楽しいかもしれませんね。

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