自転車置き場の屋根の色理論(パーキンソンの凡俗法則)とは、「どうでもいいこと(誰にでも分かるような簡単なこと)ほど議論が白熱してしまう」ことです。
パーキンソン病のパーキンソンとは違う人です。パーキンソンの法則と区別するため、パーキンソンの凡俗法則と言います。
あなたは原子力発電所の建設に関する会議に参加する重役です。
目の前の資料には原子力発電所に関するあらゆる情報が載っており、どういう部屋を作るか、どのくらいの費用が掛かるのか等が記載されてあります。
ここで1つの問題が発生します。
原子力発電所に関する資料はあまりにも膨大で複雑であるため、全然理解することができないのです。
原子力発電所の中身が適切であるかどうかは原子力の専門家の人が考えているでしょうし、建築費についても建築の専門家の見積もりが妥当でしょう、安全性も自分には分かりません。
ですが、あなたはそんな資料の中に1つ気になる点を見つけました。なんと、原子力発電所の横に作る自転車置き場の屋根の色が青色になる予定なのです!
あなたはここぞとばかりに発言します。
「自電車置き場の屋根の色は青色ではなくグレーにした方がいいのではないでしょうか?」
と………。
このような、「どうでもいいことは議論が白熱する」ことを「自転車置場の屋根の色をどうしたらいいか、このような簡単なことは誰にでも議論することができる」と誰かが例えたことで、自電車置き場の屋根と呼ばれるようになったようです。

難しいことに関しては意見を言いにくいのですが、自転車置き場の屋根の色をどうするのかについては簡単なことなので意見を言いやすいですよね。
本当、くだらない話です。
「白熱する」とは何か
会議やSNSを見ると、白熱する議論をよく見かけます。
まず、「議論が白熱する」とはどのような状況でしょうか?
「どうでもいいこと(誰にでも分かるような簡単なこと)ほど議論が白熱してしまう」とは言いましたが、白熱するというものの定義がないと、この主張が正しいかどうかは分かりませんよね。
議論が白熱するとは
・お互いの主張をぶつけ合っている
・ある程度長い時間やり取りが行われる
のことであると定義します。
例えば、2023年4~5月は「ジャニー喜多川氏の性加害疑惑」について各地で”白熱した議論”が起こりました。
twitter・5chをはじめとする各SNSで話題になり、多くの人がお互いの主張をぶつけ合っていました。この議論は数日で収まらず2か月以上続きました。まさに白熱した議論といえるでしょう。中身はともかく。
このような、お互いの意見を長い時間をかけて言い合うことが、白熱した議論であると言えます。
(長い時間とは何か、まで考えるのはやめておくこととする)
「どうでもいい」は人によって異なる
次に、「どうでもいい」は人によって異なります。
私にとって物理学は大事なことですが、物理学の議論なんてどうでもいいって思う人もいます。
確かに「どうでもいい」は人によって異なるので、「どうでもいい」のことを「必要な知識が少ないこと」として考えます。
これってどうでもいいよね、ではなく、これって必要な知識が少なくて誰でも指摘できそうなことだよね、です。
簡単な内容は議論に参加しやすい
日常に関すること、自分に大きな影響を及ぼすこと、時期的なこと、専門家が集まること…etc.
議論が盛り上がる要因は様々です。
その中に、議論が盛り上がる要因の一つとして「必要な知識が少ないこと(簡単な内容であること)」もあるのではないでしょうか?
必要な知識が少ない議論は盛り上がる根拠は、参入のしやすさです。
白熱した議論とは「お互いの主張をぶつけ合っている」ことなのですから、参入しやすい議題は主張が言いやすく盛り上がるといえるでしょう。
知識レベルが低い話題は多くの人が理解しやすく、参加しやすくなるのです。
簡単すぎる内容は盛り上がらない
ただ、簡単すぎる内容だと盛り上がらないこともあります。
「あの雲の形は何に見えるか?」なんて議題があったとしても、まず盛り上がりません。
誰でも議論できるような簡単な内容であることは間違いありませんが、「簡単=必ず盛り上がる」わけではないのです。
人には「口を出したくなる習性」がある
人間は、「何か自分の考えと違うものを見つけると口を出したくなる習性」を持っています。
人は、自分の意見や考えを発信したり、他人と意見を交換したりすることで、社会的なつながりを感じることができます。
今この記事を読んでいる人も、この記事の間違ったところを見つければ「それは違うんじゃないの?」と思いますし、誰かに言いたくなるでしょう。
関係者の誰もが自分のアイデアを加えることによって自分の存在を誇示したがるのである。
Wikipediaより
我々ホモ・サピエンスは数百万年以上前から、多くの人と協力し、共に問題を解決しようとしながら生きてきました。
住居の問題、環境の問題、食事の問題、個人間の問題… 問題点を修正しようとすることは、進化の過程で得た「本能(習性)」であると言えます。
口を出せるのは「簡単な内容」のみとなってしまう
議論が起こると口を挟みたくなってしまうのが人間の性質です。
しかし、難しい議題は理解ができず口を挟むことができないため、難しい議題の中にある簡単な部分、些細でどうでもいい部分を指摘してしまいます。
SNS上で見かけるどうでもいいような炎上、あれは人間の本能です。
会議中にどうでもいい議題で盛り上がってしまうこと、あれも人間の本能です。
何かに口を挟んで自分の存在をアピールしたいという本能が抑えられない。
しかし難しい議題は理解できないため、どうでもいいような些細で簡単な問題に口を挟んでしまうのです。
まとめ
人間は、間違っているところを指摘したがる。なぜなら、自分の有用性をアピールしたいから。
↓
難しい議題には口を挟めないので、参加しやすい話題、もしくは、参加しにくい話題の中の分かりやすい部分を指摘してしまう。
↓
必要な知識がなくても大丈夫な議論は盛り上がる。
これが、自電車置き場の屋根の色理論です。
大切な話がしたい場合は、自転車置き場の屋根の色理論を理解したうえで、しょうもない議題で盛り上がらないように気を付けましょう。
